戻る

長崎幼児殺害事件と三国志

4歳児を突き落として殺害した12歳の少年が三国志を読んでいたというのが話題になっている。(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20030710i201.htm)
この記事では、
読書が好きで、最近は三国志を読んでいたようです。
と、校長が語ったことになっているのだが、その他の記事では、「三国志を愛読していた」(http://www.sankei.co.jp/news/030710/0710sha010.htm)ということになっていて、さらには「愛読書が三国志だった」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030709-00000207-kyodo-soci)ということになっている。

「愛読書が三国志」とは、私のように長年にわたって、もう何十回とは言わないけれども、何回も読み返して、その書が人生に多大なる影響を及ぼしていているような状態のことを言うと思っていたが、どうも違うようである。
ここでは「愛読」という語はもっと軽い意味で使われていて、「愛読書が三国志」とは「最近三国志を読んでいた」というだけのことなのだろう。誤解を招きやすい表現である。

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030710k0000m040155002c.html
さて、こちらの記事では、ゲームが好きだったという。まだ情報は出ていないけれど、三国志とゲームが好きならばおそらく、三国無双をやっていたと予想される。
私は、三国無双を初めてプレイした時から何とも言えない違和感があって、一回やっただけで、あとはプレイしていない。
その後、この違和感は何だろうと考えてみた。

大義名分のない戦争というのは、ただの大量殺戮以外の何物でもない。それは三国志の時代でも現代でも同じ、普遍の法則である。殺人は悪であるが、戦争というのは、それを押しても達成しなければならないもの(価値)があるということだと理解している。
また、たとえばベトナム戦争では、戦後、米兵はベトナムシンドロームになったとか言う話がある。やはり、戦争とはいえ、はっきりとした大義名分がなく人を殺すというのは、とても苦しいことなのである。

その他、戦後の死体処理や慰霊など、そういうめんどくさいことはすべて抜きにして、三国志を仮の舞台として、戦争のかっこよくて気持ちいい部分だけを抜き出して、「何百人斬り」とか言ったりして、大量殺戮を美化したのが、三国無双というゲームの本質である。
今の子どもたち、家庭や学校で倫理や道徳や宗教教育をまともに受けていない子どもたちにとって、これほど有害なものはないであろう。
いや、タバコや酒などは、大人になったら飲んでもよいということになっているが、子どもにとって体に悪いものは、摂りすぎるとやはり大人にとっても悪いように、こういうものは大人の精神衛生上もよくないのは当たり前である。そもそも、道徳的にしっかりした大人ならば、そのようなゲームは恐ろしくてやれないだろう。

そう考えると、これは三国無双だけが悪いのではない。
アダルトゲームのように、社会の裏の方でこそこそやるのなら個人の自由であるのでまあ問題はないのだが、こういう不道徳なものが公然と売り上げランキング上位に入って、子どもにも平気で与え、誰も文句を言わないというのは、やはり日本全体がおかしいのである。

私は日本国憲法無効論を是とする者だけれど、その日本国憲法ですら、公共の福祉に反するような自由というのは認めていない。三国無双は、公共の福祉に反していないと言えるかどうか。
発禁にしろとは言わないが、少なくとも、年齢制限を設けるべきだろう。

実は、私が三国志の世界に魅せられたのも、12歳頃に光栄の三国志に触れたのが最初である。

私は、そういう意味では、子どもにとって、ゲームの感化力というか教育効果というのは、非常に大きいと思うものでもある。だから、ゲーム制作者にはもっと倫理や道徳について学んでもらって、教育的なものを作ってほしいとも思う。
そういうものには、今の「このゲームには暴力シーンやなんとかが含まれています」というのの反対の、映画でもよくある「青少年なんとか委員会推薦」みたいなマークをつけるのもよいかもしれない。
そうなればまた、ゲームにはただの娯楽というだけではなく、教育という付加価値が生まれて、ゲームの存在意義というのが増すと思うのだが、どうだろうか。

ただ、この手の犯罪はいつの時代でもあることで、針小棒大にとりたてて騒ぐほどのことでもないかもしれない。
それよりもむしろ、年間三万人以上というから、今日も目に見えないところで何十人という人が自殺しているという事実の方がひどい話である。
9.11テロよりも、イラク戦争の犠牲者よりも、パレスチナのテロよりも、北朝鮮に拉致された人よりも多くの人が毎年自殺で亡くなっている。
少年犯罪もそうだが、これがもし国の教育の誤りが淵源だとするなら、国家によるテロともいえる。テロ国家日本。いや、そもそも、米の占領政策が時を越えて間接的に効いているとも言える・・・。
(2003.7.10-11)

戻る